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「茗荷谷の猫」という小説を読んだ。

不思議な小説である。

9つの短編からなる連作。

江戸時代から昭和30年代まで、市井の無名の人が出てくる。

それぞれ無名の人なのだが、何か変だ。

こだわりをもって生きているのだが、

なかなか思うようにいかない。

そんな鬱屈が、間欠泉のようにほとばしる。

たとえば、江戸の染井吉野をつくった職人のはなし。

染井吉野の品種の改良と普及に、もくもくとはげむ。

妻は、夫の仕事にひと言も口を挟まず、

黙って、針仕事にいそしみ、

そして、あっけなく、病で死ぬ。

そのラストがいい。


妻を亡くした職人徳造のもとに、職人仲間が訪ねる。

驚いたことに、徳造は、亡くなった妻の針道具の周辺を

ほこりをかぶった、そのままにしている。

見かねて、職人が声をかける。

「『なあ、兄ぃ。そのまんまにしたって、死んだ女房が

かえってくるわけじゃあるめえよ。気持ちはわかるが、

もういい加減、わすれなきゃいけねぇよ』

止まってなどいられないことを、徳造は知っていた。

どんな風に座っていたか、どんな声で笑っていたか、

どんな仕草で怒っていたか、どんな匂いがしていたか。

それはどれほど留めようと努めても、手のひらにすくった

砂粒のように、隙をついてどこかに吸い取られ、

消えていってしまうのだ。

徳造の口が、なにかを言おうと開きかけた。

そこで息遣いがしゃくりあげるようになって、

あとの言葉が途絶えた。(中略)

しんしんと冷えた夜気がそれぞれの四肢を締め上げていった。

遠くに、『火の用心』という番太郎の声が聞こえてくる。」


このほか、人の心をおだやかにするためと考えて、

怪しげな黒焼き研究する男のはなし。

映画製作に情熱を燃やす天真爛漫な青年が、戦地へ送られるはなし。

それぞれのこだわりは、どんどん膨らんでいき、

憑依(ひょうい)のようなレベルに達する。

たしかに、人生多かれ少なかれ、こだわりと憑依のなかで

ゆれているのではないか。


標題作の「茗荷谷の猫」も不思議な作品である。

床下に猫がすみつき、そのうち、その猫の奥に、

もっと黒くて大きな塊の存在にきづく。

それが、なんだかわからない。

ある日、それが飛び出した。

人間は、ひょっとしたら、こころの床下に

こんな黒い塊を住まわせているのではないか。

突然ある日、押さえ切れなくなって、その塊が、

飛び出してくるのかもしれない。

そのことを暗示しているのではないか。

源氏物語の葵の上に登場する生霊(いきりょう)の

ようなものかもしれない。

いろんなことを感じさせられる作品群である。

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by kitanojomonjin | 2018-01-30 13:46 | 人生 | Comments(0)

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先日、東京に大雪が降ったあくる朝。

多摩川べりを歩くと、不思議な光景が広がっていた。

見渡す限り、一面の川霧。

気温より水温が暖かいせいだろう。

めったに見れない幻想的な光景だった。

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by kitanojomonjin | 2018-01-25 21:37 | 季節の風 | Comments(0)

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新選組・幕末の青嵐という小説を読んでいる。

木内昇(のぼり)という50代の女性の作品である。

土方歳三をはじめ16人が、入れ替わり立ち代わり

クローズアップされていく。この作品の特徴は、

それぞれの人物の悩みや思いがきめ細かく

描かれているところ。

ひとつひとつの小品が連なり、時代の大きなうねりも

見事に表現している。

ときおり、土方たちが、追想するふるさと武州の

光景が、印象的だ。

「収穫が終わると、武州の空気は一気に冷え込んでゆく。

夕焼けの赤みが藍を混ぜたように濃くなって、

日暮れがどうも切実になる。

他の季節と違って、月日の移ろいをいやがうえにも

意識させられるこの時期は、とりたてて

理由もないのに焦燥や悔恨にさいなまれる。」

たしかに。

いまの武州にも通じる自然観である。

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by kitanojomonjin | 2018-01-20 09:02 | 人生 | Comments(0)

浅川マキ 2018年1月17日

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浅川マキの歌をラジオでやっていた。

浅川マキの歌で、一番好きなのは、

「夜が明けたら」である。

“夜が明けたら一番早い汽車に乗って”で

はじまるあの歌。

「みんな私に云うの。

そろそろ落ち着きなってね。

だけどだけど人生は長いじゃない。

そう、あの街はきっといいよ。」


ずいぶんむかし。

札幌を離れるとき、この歌を聴いた。

忘れられない。

今日は、奇しくも、浅川マキの命日。

そして、誕生日でもあるという。

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by kitanojomonjin | 2018-01-17 09:50 | 人生 | Comments(0)

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「ゆきのまち通信」の最新号が届いた。

雪国をむすぶ隔月の雑誌である。

その表紙の巻頭言がいい。


「雪の美しさ知っていますか、

雪の厳しさ知っていますか、

雪の冷たさ、暖かさ知っていますか、

雪を待つ心、雪解けの喜び、

雪降るまちの楽しさ、

暮らし、かたりあいましょう。

雪降るまちの思いつなぐ、

ゆきのまち通信。」


ことしは、雪の厳しさが、

ひとしお痛感されることだろう。

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by kitanojomonjin | 2018-01-13 13:25 | 季節の風 | Comments(0)

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今月29日(月)、午後6時半から

築地の朝日新聞読者ホールで、

「縄文と月の女神」というテーマで、

東京縄文塾が開かれる。

講師は、民俗学者の赤坂憲雄先生。

どんなおはなしになるか、楽しみである。

詳しくは、HPみんなの縄文にも,紹介されているので

そちらをご覧ください。

HP「みんなの縄文」
   http://www.jomonjin.net



ところで、今月は、満月が、2日と31日と2回ある

珍しい月だという。

とくに、31日夜10時30分には、皆既月食も観測される。

ブルームーンといって、この月をみると、

幸せになれるとか。

しばし、月のロマンにひたってみたらいかが?

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by kitanojomonjin | 2018-01-08 15:27 | 縄文 | Comments(0)

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先日、「新橋アンダーグラウンド」という本を

読んだら、新橋の靴磨きばあちゃんのはなしが、

紹介されていた。

プロの靴磨きは、ほとんどキィウィ製品を

使っている。

なぜか?

その答えは、キィウィは、ズボンに色がつかない

からだという。

そのぶん、キィウィは、靴によく刷り込まないとだめ。

「靴に汚れがいっぱいあるとか傷がある場合、

指でなすると埋まるんですよ。

布だとね、そうはいかない。」

そして、靴磨きばあちゃん、こんなことばで、

はなしをしめくくったという。

「靴磨きというものは、お客さんの靴を

きれいにするためにはわたしは汚れてもいいんです。」

なかなかいいことばだ。

この寒風のなか、きょうも、

新橋の靴磨きばあちゃんは、働いているのだろうか?

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by kitanojomonjin | 2018-01-06 09:16 | ドキュメンタリー | Comments(0)

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先日、三内丸山縄文発信の会の機関紙

「縄文ファイル」の最新号が届いた。

表紙は、遺跡での「世界最大の考古学授業」のギネス記録達成の写真。

みんないい顔をしている。

A Guinness record challenging event 
“the world biggest lesson” was held at
Sannai-Maruyama Site on November 5th,Sunday.

300 challengers got together in a

large pit dwelling and audited the lesson

lectured by Mr. Tetsuo Kikuchi, an

archaeological expert for about 50

minutes, watched by Guinness

recognizer. As a result of the

determination, a Guinness world record

of “the most number of participants in an

archaeological lesson” was recognized

brilliantly.

三内丸山遺跡でギネス記録達成!
「世界最大の考古学授業」で認定

11月5日(日)、三内丸山遺跡で、「世界最大の

考古学授業」と題したギネス世界記録への挑戦

イベントが行われた。

300人のチャレンジャーが挑戦会場である

大型竪穴住居に集まり、考古学の専門家である

菊池徹夫先生による授業を、判定委員が見守る

中、約50分にわたり聴講。判定の結果、見事に

「考古学レッスン最多参加人数」のギネス記録を

達成した。

縄文ファイル234号(2018年1・2月号)


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by kitanojomonjin | 2018-01-04 13:07 | 英語で縄文 | Comments(0)

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元旦の多摩川べりを散歩した。

遠くに雪をいただいた富士山が。

そして、川の流れには、

渡り鳥が浮かんでいる。

ここのところ、毎朝、観察しているのだが、

渡り鳥のグループは、10羽前後。

離れたり近づいたりしながら、

びみょうにチームを維持している。

この距離感の取り方が、なかなか絶妙である。

幼い鳥が、遅れると、ゆっくり待ったり、

危険を感じると、一か所に集ったり。

まさに、野生の知恵である。


帰り道、この川べりの近くで、獅子舞を見た。

うしろには、子供たちのおはやしが続いていた。

町の顔役が、つぎは、あの家と指示して、

順番に回っている。

獅子舞を演ずる側と、獅子舞を迎える側が

顔なじみの“共同体”が、府中のこのあたりには

まだ残っているのだ。

驚きである。

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by kitanojomonjin | 2018-01-02 10:59 | Comments(0)