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司馬遼太郎短篇全集第9巻を読み終わった。

相変わらず、ユニークな人物が出てくる。

時代の枠に収まりきれず、飄々と生きる人。

時代と格闘しながら、結局時代からはみ出してしまう人。

様々である。

「天明の絵師」の中で、蕪村が弟子の呉春に旅について語る。

「十年、旅に出るがいいだろう、と蕪村はいった。

芭蕉もそうだったし、蕪村自身もそうだった。

本来、芸術とは漂泊者のものではないか。

旅に出れば、自分の心の奥にある、あったとも思えぬ

意外な琴が、意外に鳴り出すこともある。

その琴の音を聴く。聴くことが旅というものだ。

その音だけが自分を高めてくれる。

そう蕪村はいった。」

そろそろ旅に出たくなった。

旅の虫が騒ぐ。


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by kitanojomonjin | 2007-05-28 11:21 | 司馬遼太郎さん | Comments(1)

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(「日本の伝統」「日本再発見」「神秘日本」と並ぶ岡本太郎の日本文化論連作のひとつ)

先日の縄文塾の講師を囲む会でのこと。

講師の赤坂憲雄さんは、こんな話をされた。

この日のお話は、去年の大晦日から一ヶ月余りの間に書いた

岡本太郎についての原稿を下敷きにしているという。

赤坂さんは、恥ずかしそうな表情でこういわれた。

「わたしは、ふだんはこんなことは言わないのですが、

これは、岡本太郎へのラブレターのつもりで書きました。

まもなく出版されます。

ぜひ買い求めて読んでください。」

赤坂さんの重いがぶつけられたられたこの本は、

「岡本太郎の見た日本」とかいうタイトルで、

6月岩波書店から、発売されるという。

楽しみである。


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by kitanojomonjin | 2007-05-28 11:19 | 縄文 | Comments(0)

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岡本太郎は、ほとんど自分で写真を撮り、

自分の文章にその写真を添えた。

「日本の伝統」の縄文土器も自分で撮影したものだ。

岡本太郎と写真について、「日本の伝統」の解説で、

岡本敏子さんが興味深いことを書いている。

最初、美術雑誌「みずゑ」に掲載した時、岡本太郎の写真も

あるのに、出版社は、わざわざプロの写真家に撮りに行かせた。

岡本太郎は、その写真が気に入らなかったらしい。

こう語ったという。

「そうじゃないんだ。ディテールはとんでもいいんだ。

もっと立体感が浮かびあがるように、ぎりぎりっと撮ってくれ」

だが、納得いくものではなかった。

以後、岡本太郎の日本文化風土記もの「日本の伝統」「日本再発見」

「忘れられた日本」などは、すべて岡本自身が撮影した

写真が使われた。

それらの写真は、岡本が、パリで交流した多くの写真家の

影響もあったのでないかと、赤坂憲雄さんは、指摘する。

その中には、マン・レイ,ブラッサイなど

そうそうたるメンバーがいた。

確かに、縄文土器を真っ黒な背景で、ぎりぎりのサイズで

撮影したものは、それまでに無かったという。

岡本太郎の日本文化再発見には、写真が不可欠の手段だった。


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by kitanojomonjin | 2007-05-28 11:17 | 縄文 | Comments(0)

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先週の金曜日、久しぶりに東京で、縄文塾が

開かれた。

講師は、民俗学者の赤坂憲雄さん。

演題は、「縄文の発見~岡本太郎~」。

目からうろことは、このことか。

実に面白かった。

岡本太郎といえば、「芸術は爆発だ」という

パフォーマンスおじさんかと思われているが、

これが、全然違う。

「日本の伝統」に所収されている「縄文土器文化論」から

考察を進めた赤坂さんは、岡本太郎は

ほんものかもしれないという確信を抱く。

岡本太郎は、19歳からおよそ10年間、パリで過ごした。

1930年代のパリで、芸術家、思想家、哲学者などと交流した。

民族学では、ソルボンヌ大学のマルセル・モースの

直弟子となった。

その眼差しで、岡本は1951年11月、上野の東博・考古学展示室で

はじめて縄文土器と出会い、縄文を発見した。

発見とは、なにか。

それは、「ものごとに新たな文脈の中で、新たな意味を

与えること」だという。

その意味で、岡本太郎は、縄文を発見した。

さらに、踏み込んで言えば、

「縄文土器は、単なる考古学の対象のモノではなく、

モノには、精神や世界観が宿っている。

そこに向き合わない限り、モノを見たことにならない。」

いまの考古学にも通じる根本的な指摘を岡本は、

しているという。

「日本再発見」の中に現れた岡本の眼差しは、

フランスの文化人類学者(民族学者)マルセル・モースじこみ

ということで納得がいく。

なお、「日本の伝統」は、光文社・知恵の森文庫で

復刻されている。(角川文庫版・講談社現代新書版は、絶版)


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by kitanojomonjin | 2007-05-28 11:16 | 縄文 | Comments(0)

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(りんごの乙女の像)
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(安寿と厨子王の像)


津軽の春たけなわ。

弘前の一番町で、懐かしい銅像たちに出会った。

まず、りんごの乙女の像。

青森出身の彫刻家古川武治の作品。

はじめて、この裸婦が、弘前に登場した時は、

随分まぶしかった。

もうひとつは、安寿と厨子王の像。

弘前出身の石場清四郎先生の作品である。

厨子王を囲んで、安寿と母が寄り添い、

その3人の姿が、岩木山の形になっている。

岩木山をイメージしたこの像の制作に、

石場先生は晩年の大半のエネルギーを注がれた。

いまあんまり注目されず、ひっそりあるのは、

いささか寂しい気がする。


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by kitanojomonjin | 2007-05-24 13:07 | 津軽 | Comments(0)

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津軽の春は、いま花盛り。

この間まで、東京で咲き誇っていたツツジが、

いま真っ盛りである。

高齢の父は、最近テレビにかじりついてばかり。

思い切って、テレビを消す。

ぽつりぽつりと会話が重ねられる。

 「今年は、カッコーを聞いた?」

父「いや、まだ聞いてないよ。

 5月20日ごろが、カッコーの鳴き始めだけど。」

へー、随分詳しいことを知ってるんだと感心させられる。

テレビの仕事に関わっていながら、皮肉なものだ。

テレビは、年寄りの時間つぶしの友でもあり、

コミュニケーションを断ち切る邪魔者でもある。


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by kitanojomonjin | 2007-05-24 13:05 | 津軽 | Comments(0)

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先週末、ちょっと急な用事があって、ふるさと津軽に帰っていた。

津軽は、今一番いい季節である。

りんごの白い花が一斉に咲き、

里山では、木々が芽吹き、みどりの若葉を

つけている。

この時期を秋の紅葉に対して、

「春もみじ」となづけて最近おおいにPRされるようになった。

そしてなんといっても、ふるさとの山・岩木山。

雪形が、くっきり現れて、この時期の岩木山は

ひときわ美しい。


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by kitanojomonjin | 2007-05-24 13:02 | 岩木山 | Comments(0)

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先週の18日、月一回の五反田古書展をのぞいてみた。

この古書展を紹介してくれた古書の森日記さんも

既においでになっていて、たくさん古書を抱えていた。

その迫力に、圧倒された。

それに比べると、私の方は、今回は琴線にふれるような本とは、

なかなかめぐり合わなかった。

その中で、一冊。

岡本太郎の「日本再発見」。

昭和33年に発行された本で、写真も文章も岡本太郎である。

昭和30年代の日本の見事なルポになっている。

秋田を訪ねた時のルポのラストで、岡本のフアンだという

男性に会う。

かれの別れ際はこんなふうだった。

「しばらく窓からただ白一色の雪原のひろがりを眺めていると、

ふと彼は立ち上がって、ていねいに別れをつげた。

今日は一日、雪の中をただ歩き回ってみたいのです。

あたりにほとんど何もない寒村の駅の白雪の上に

彼は飄然と降りて行った。」

「一日雪の中を歩き回る」それは、最高の贅沢かもしれない。


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by kitanojomonjin | 2007-05-18 11:57 | カルチャー通信 | Comments(0)

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きのうの雨と打って変わって今日は良い天気。

雨上がりの散歩道。

祖師谷公園は、緑が濃くなった。

雨で散る花もあれば、

新たに花を付け、目を楽しませてくれるものもある。

早いものでもう5月も半ば。

じきに梅雨がやってくる。

ことしは、アジサイを楽しむことができるだろうか。


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by kitanojomonjin | 2007-05-17 11:33 | ブロギニストの散歩道 | Comments(0)

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野中広務の「差別と権力」というルポルタージュを

読んだ。

遅れてきた新人の野中が、権力を握る秘密は

次のように活写される。

「利害の異なる集団の境界線上に身を置くという言う意味では、

彼の政治スタンスは、中央政界入りしてからも

全く変わらない。

自社さ政権時代の自民党と社会党、

あるいは旧田中・竹下派と加藤紘一の宏池会、

そして自公政権時代の自民党と公明党

彼はつねに双方のはざまに立ち、

連立政権時代の調停者として権力の階段を上がっていく。」

その際、派閥を作らない彼の武器は、情報だった。

その情報の取り方が、実に具体的に記されている。

政治の世界で情報が、どんなふうに武器となるのか

よくわかる本である。


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by kitanojomonjin | 2007-05-15 10:33 | 人生 | Comments(0)