人気ブログランキング |

カテゴリ:人生( 317 )

c0069380_08112413.jpg
実に、不思議な小説を読んだ。

中島京子の「夢見る帝国図書館」。

主人公は、上野の噴水の前で、ふしぎなおばちゃんと出会う。

彼女の名は、喜和子さんという。

しだいに、仲良くなり、あばらやのような

彼女のうちに出入りするようになる。

彼女の願いは、「帝国図書館」を主人公にした小説を

書いてくれということ。

「夢見る帝国図書館」というコラムふうのミニ歴史を

はさんで、喜和子さんと上野のやまをめぐる

話が展開する。

ゆるーい脱世俗の話のようでもあり、

途中から、戦災孤児があふれた戦後の上野の

シリアスな時代ものぞく。

この夏一番のおすすめ。

お読みいただいた記念にランキングをクリックしてください。
            人気blogランキングへ




by kitanojomonjin | 2019-08-24 08:21 | 人生 | Comments(0)

c0069380_08260065.jpg
こちらも、神田神保町の古本屋で

見つけた本。

店頭の台に並んでいた。

山崎方代という人物の記録。

鎌倉の小さな小屋に住んでいて

自己流の和歌を作る。

酒を愛し、

ほとんど、浮浪者のような風体で

鎌倉の街や山野を歩き回る。

その破天荒な人柄は、里見弴など

鎌倉文人にも愛された。

ノンフィクション作家・田澤拓也が、

こくめいな取材によって

この不思議な人物をあぶりだす。

お読みいただいた記念にランキングをクリックしてください。
            人気blogランキングへ








by kitanojomonjin | 2019-06-25 08:36 | 人生 | Comments(0)

c0069380_08473844.jpg
雪の幻想性をテーマに、毎年募集している

ゆきのまち幻想文学賞。

ことし、82歳の大賞受賞者が出て話題になっている。

「待合室」という作品を書いた中野睦夫さん。

審査にあたった夢枕獏さんが、

こんな作品評を寄せている。

「82歳の人がこういうものを書けるの?

読んでいくと、吸血鬼が棺桶で寝ているイメージが

湧いてきた。

泉鏡花の香りがする作品。」

北国の駅の待合室で待っていたのは、

雪女だったという話なのだが、

あまたある雪女ばなしに負けない

すごみのある作品である。

一読をおすすめする。

(別冊ゆきのまち通信に、所収)

お読みいただいた記念にランキングをクリックしてください。
            人気blogランキングへ


by kitanojomonjin | 2019-05-22 08:57 | 人生 | Comments(0)

c0069380_09154943.jpg
津軽の詩人・渋谷聡さんから、詩集が届いた。

「さとの村にも春来たりなば」

ふだん使っている津軽弁で、日常のくらしで

感じたままが、詩になっている。

帯の紹介には、こうある。

「わずか十軒の村に住む男は、

特別支援学級の教師として奮闘、

認知症になった父親の介護にも奮闘、

若き日の親友が次々と亡くなり涙、

雪に閉ざされた我が家から子どもたちは都会へ出ていった。

ついに心がぐちゃぐちゃになり、

愛する妻と「つがい」に戻ることを決意。

今年も里に桜は咲き、春は来る。」

どうしようもない“絶望”詩集のようだが、

読んで見ると、なんだかからりと明るい。

津軽弁の風合いのなかに、

現代に生きる一つの決意が伝わってくる。

ちなみに、今年、津軽に桜が咲き始めるのは、

4月20日すぎだとか。

お読みいただいた記念にランキングをクリックしてください。
            人気blogランキングへ




by kitanojomonjin | 2019-04-03 09:28 | 人生 | Comments(0)

c0069380_08290326.jpg
先日、「木と市長と文化会館」という

フランス映画を見た。

地方の農村で、国の補助を得て、

文化会館を作ろうという計画がもちあがる。

例によって、賛成派と反対派が対立する。

どこにでもよくある話である。

ただ、こんなシーンが、興味深かった。

女の子が、市長に自分の意見をのべる。

「文化会館ができると、緑がなくなる」

市長は、こたえる。

「ここは、緑豊かな農村地帯。

みどりがいっぱいあるではないか」

女の子が、答える。

「緑がいっぱいあるようで、私たちが遊べる

緑の場所は少ないのよ。

大きな緑地は柵でかこわれ、虫取りをする場所もないわ」

この意外な現実に、市長も少なからず、ショックを受ける。

「これからも、いつでも話においで。

いつでも、話をきくよ」

ざっとこんな具合である。

「人の話を聞く」ということは、

こういうことなのではないか?

たとえ立場が違っても、幼い子どもの意見であろうとも、

相手の立場に立って、話を聞く。

とっても大事なことだと思う。

お読みいただいた記念にランキングをクリックしてください。
            人気blogランキングへ




by kitanojomonjin | 2019-03-23 08:46 | 人生 | Comments(0)

c0069380_08413131.jpg
先日、テレビで、東日本大震災の被災者の

こころの悩みの相談にあたっている精神科医師が

紹介された。

蟻塚亮二氏である。

震災から8年。

いまだに、明確な喪失感と

あいまいで先が見えない不安のなか、

こころを病むひとが増えているという。

医師の前で、この8年間、泣かなかった女性が

初めて涙をこぼした。

医師はいう。

「がんばれがんばれだけではすまない。

悲しみというものは、

それを受け止めてくれるひとがいて、はじめて悲しめるもの」

ここに、震災の現実に向き合う志の人がいた。


お読みいただいた記念にランキングをクリックしてください。
            人気blogランキングへ









by kitanojomonjin | 2019-03-17 08:54 | 人生 | Comments(0)

c0069380_13234988.jpg
いま、サントリー美術館で、河鍋暁斎展をやっている。

実に、面白い。

河鍋暁斎というと、幕末から明治のかけて、狩野派絵師としても、

浮世絵師としても、知られている。

才能にあふれているために、サイドの偏屈な芸術家かと思ったら、大違いである。

異端の奇才ではなく、本流の奇才である。

彼の千変万化の奇才ぶりは、明治維新の変革期の日本そのものなのだ。


なかでも、興味深かったのは、「九相図」。

人間が死んだ後、死体が、膨張し、腐敗し、野鳥についばまれ、

しまいに、白骨になる。

「九相図」とは、9つの死の場面を凝視して、

悟りを得るという仏教古来の修行法だという。

変革期に、この古典的テーマを凝視した暁斎の気持ちは、

どんなものだったのだろう。

お読みいただいた記念にランキングをクリックしてください。
            人気blogランキングへ








by kitanojomonjin | 2019-02-14 13:35 | 人生 | Comments(0)

c0069380_09481675.jpg
c0069380_09491323.jpg
ここのところ数年、クラシックシネマをみつづけている。

去年、見た中では、「渚にて」が、忘れられない。

第三次世界大戦が勃発し、地球は滅亡寸前。

アメリカ軍の潜水艦の艦長役が、グレゴリー・ペック。

潜水艦がたどりついた南半球のオーストラリアの渚では、

一見おだやかな市民生活が。

しかし、北半球は、核戦争で絶望的。

核の雲が南半球に押し寄せるまで、

つかのまの命である。

残された命の時間をどのように過ごすか?

人生の楽しみを享楽し、自殺するひと。

愛する人と死を迎えようとするひと。

さまざま。

この映画の中で、興味深いシーンがある。

核で完全に死の街になったはずなのに、

北半球から、メッセージが、発信されつづけていた。

だれか生存者がいるのではないか?

潜水艦に、探索の指令がでる。

決死の思いで、それを確かめに行った結果は・・・。

カーテンのひもに絡まったコーラのビンが、

風に揺れて、モールス信号をたたき続けていたのだ。

痛烈な現代文明への皮肉である。


そしてラスト。

グレゴリー・ペックの潜水艦は乗組員全員の総意で、

ふたたび、ふるさと北米への最後の旅に出発する。

そこは、すでに死の街になっているのに。


この映画のメッセージは、少しも、古くなっていない。

考えさせられる。

必見である。

お読みいただいた記念にランキングをクリックしてください。
           人気blogランキングへ










by kitanojomonjin | 2019-01-20 10:16 | 人生 | Comments(0)

c0069380_15493559.jpg
「奇跡の本屋をつくりたい」という本を読んだ。

むかし、小さい街には、決まって、これぞという小さな本屋さんが

あった。

札幌のくすみ書房も、そんな頑張る小さな本屋さんだった。

逆転の発想で、ユニークなアイデアで、勝負してきた。

「なぜだ!?売れない文庫フェア」

絶版寸前で、なかなか手にはいらない文庫本をそろえ、

完売した。

「中高生はこれを読め!」

本に、縁遠い中高生に、おせっかいな本屋のおやじからと称して

推薦本を並べた。

残念ながら、ご主人久住さんは、2017年8月、病気で亡くなられた。

この本は、久住さんの遺稿である。

生前、札幌で久住さんと親しかった政治学者中島岳志さんが、

メッセージを寄せている。

札幌のある会合で偶然、久住さんに会った中島さんは、

翌日早速、久住さんの店を訪ね、

すっかり気に入って、本屋のある琴似に、引っ越してきた。

以来、10年あまり、交遊があったという。

「ソクラテスのカフェ」という本屋併設の喫茶店を拠点にして、

地域のネットワーク活動を繰り広げた。

小さな本屋さんは、地域の文化の窓口なのだ!

久住さんの大健闘にもかかわらず、小さな本屋の経営は

常に、ピンチだったという。

小さな本屋さんが、生き延びる道は、

この国に残されていないのだろうか?

考えさせられる。

お読みいただいた記念にランキングをクリックしてください。
           人気blogランキングへ





by kitanojomonjin | 2019-01-10 16:06 | 人生 | Comments(0)

c0069380_11562162.jpg
深緑野分の「戦場のコックたち」を読んだ。

第二次大戦を終結に導くノルマンディー降下作戦に従軍した

若き兵士たちが、主人公である。

パラシュート歩兵連隊に所属し、

戦闘に従事しながら、特技兵として戦場のコックを勤める。

いわゆる「兵站」の視点から、戦争を取り上げている。

たとえば、次のくだりが、印象的だ。

「人体に喩えると兵站路は大動脈だ。

兵站路の確保は戦争に勝つための絶対条件であり、

多少の犠牲を払ってでも奪取し、

守らなければならない。

そして敵は、相手の大動脈を切り裂かんと画策する。」

登場人物の会話にこんなのがある。

「一体このノルマンディーに何万人のアメリカ兵が

配備されていると思う?

兵士ひとりあたりの一日平均補給量は、

53ポンド(約24キログラム)だぜ。

ちなみに半数が弾薬、残りの半分は燃料、

あとは食糧と日用品。

わかるか?この量がどれだけ膨大か?」

第二次大戦のアメリカの戦いは、完璧な物量の戦いだった。

この小説は、戦争を「兵站」というまったく違った視点から、

切り取り、そこで苦悩する若い兵士たちの物語を綴っている。

実に、面白い。

お読みいただいた記念にランキングをクリックしてください。
           人気blogランキングへ







by kitanojomonjin | 2019-01-05 12:19 | 人生 | Comments(0)