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ひとたびはポプラに臥す 2007年7月26日

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中国の旅から戻って、宮本輝の「ひとたびはポプラに臥す」を

もう一度読み直してみた。

第一巻は、ちょうど西安から、敦煌の方向へ向かう旅だった。

改めて読むと、キラリとした言葉が光る。

「戦後まもないころの日本人と、1995年の

西安からタシュクルガンへ至るシルクロードに

生きる人々の表情には共通したものがあった。」


またこんなくだりもある。

「多くの費用と時間を使って外国をほっつき歩いて、

私がわかったのはたったひとつ。

外国人というものは、どうもよく分からないということである。」

矛盾しているようだが、どちらも中国へ行って

共通して感じさせられることである。


そして、以前も引用したが、この言葉が最も輝いている。

「日本の殺伐としたシステムと生活にあって、

私たちは多くのものを失いつづけているが、

静かに深く考える時間、

静かに深く感じる時間の喪失は

極めて重要な問題だと思う。

シルクロードの過酷な日々にあって、私は

静かに深く考える時間、

静かに深く感じる時間を

取り戻したような気がする。」

そうだよねえ。

さすが作家。

中国の旅の魅力の大きな部分を言い当てている。


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by kitanojomonjin | 2007-07-21 17:15 | 旅の街角から