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小林秀雄にはカデンツアがない 2007年7月7日

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7月1日のテレビ「言葉で奏でる音楽」の中で、

93歳になる音楽評論家吉田秀和は、言った。

「小林秀雄の音楽評論にはカデンツアがない。」


作家堀江敏幸が、小林秀雄の「モオツアルト」に

ついて質問した時の答えである。

1946年、小林秀雄は、雑誌「創元」に、「モオツアルト」を発表した。

「モツアルトのかなしさは、疾走する。

涙は追いつけない。」

画期的な音楽評論であり、モーツァルト論であった。

吉田秀和は、その衝撃は、認めつつも言った。

「小林秀雄の音楽評論にはカデンツアがない。」

カデンツアとは、句読点のことだという。

そこにこめられた吉田の思いは、

小林秀雄の音楽評論は、余りに文学的過ぎる。

自分こそ音楽の素養をベースにして正統な音楽評論を

展開するぞという自負がこめられているようだ。

火花を発するような批評精神が、垣間見えて面白い。


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by kitanojomonjin | 2007-07-07 12:56 | モーツァルト