久慈孝子の死 2007年5月15日
2007年 05月 14日日経の私の履歴書に、映画監督の新藤兼人さんが
連載している。
さすがに、脚本家だけあって、文章が素晴らしい。
きのうは、最初の奥さん久慈孝子が、結核で
亡くなる情景だった。
「鴨川の土手から朝顔の苗を拾って一坪ほどの
庭に植えた。
これを育てて四畳半に寝ている久慈さんに
見せるつもりだった。
久慈さんは、手鏡で朝顔を見て、
これに花が咲く頃には良くなるからと言った。
運命は残酷だ。
効きもしない水薬を毎日大事に飲んで、
次第にやせ細り、八月七日の夜明けに死んだ。
お世話になりましたと言った。
朝顔が一輪咲いた。
白い朝顔が。」
なんという静謐で哀しみにあふれた文章だろう。
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