人間死んだらおしまい 2006年6月4日
2006年 06月 03日先日、ラジオで、落語の「文七元結(もっとい)」の
話をしていた。
暮れの28日、吾妻橋を通りかかった長兵衛は、
まさに、身投げをしようとしていた文七を思いとどまらせる。
そのときのくどきは、「志ん生人情ばなし」によると
こんな具合である。
「人間てえ奴ァな、寿命のあるのをわざわざ縮めるッてえのは、
神にすまねえ。」
「な、人の命てえのはそんなもんじゃねえや。」
そういって、娘が吉原で身請けして作った50両という
大金を文七に渡す。
この後、文七の無くした50両も見つかり
めでたしめでたしの人情落語である。
ラジオで、指摘していたのは、この落語に貫かれている
「人間死んだらおしまい」という素朴な精神であった。
この落語は、明治初期、三遊亭円朝が流行させた
ものだという。
江戸から明治に替わり、人々のこころが揺れていたとき、
人間にとって最も大切のものは何かー
三遊亭円朝なりに考えた結論が、
この人情話なのかもしれない。
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