怪談牡丹燈籠を読んだ。
三遊亭円朝の有名な怪談噺である。
カランコロンとこまげたの音をさせて
美女の幽霊が、夜な夜な訪れる。
足がないのがふつうなのに、
ちゃんと足があるのが異色である。
ところが、読んでみて、その異色ぶりは
ほんの序の口であることがわかる。
幽霊が、愛する人の家に貼ってある
幽霊撃退のお札をはがしてくれと
たのみにくると、
100両だすなら、はがそうということになる。
幽霊を相手に、金の交渉をして、
結局、幽霊はなんと100両調達する。
こんな話聞いたことがない。
まさに、地獄のさたも金次第である。
幽霊からせしめた金で、悪と欲の物語が
延々と続く。
まさに、怖いのは、幽霊より、人間なのである。
「人間の業」ともいうべき、
おどろおどろしい世界がくりひろげられ、
読んでいて、息つく暇がない。
ある人は、明治の日本文学を10年
先取りしていると評した。
まさに、日本文学の傑作である。
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