今年見たドキュメンタリーでは、人生フルーツが
わすれられない。
ニュータウンの中に、「風の通り道」を作ろうとした
設計者の夫婦(夫90歳・妻87歳)の話である。
ニュータウンでは実現しなかった夢を
自宅の庭を中心に、こつこつと具体化しようとする。
四季の移りのほかは、なにも事件はおきない。
しいて事件といえば、ある日、夫が昼寝から
おきてこなかったこと。
しずかな最期だった。
その後の妻の様子が、新聞に載っていた。
(毎日新聞・2017年11月8日付)
「(妻の)最近の喜びは、孫の花子さんが歯医者となり、
『60歳になったら受け継ぐね』といってくれたことだという。
次の、またその次の世代へ耕した土を
つなぐことができるとわかって、
本当にうれしそうだった。」
記者は、こんな言葉で、むすんでいる。
「時間をただ消費して生きるのではなく、
時を重ねながら、たくわえて生きていく。
人にも家族人も地域にも、そういう道があるのだ
ということを知った。」
含蓄のある言葉である。