先日、雪の降る日。
映画「過去のない男」というDVDを借りてきて見た。
フィンランドの監督カウリマスキーの2002年の作品である。
これが、すこぶるつきに面白かった。
冒頭、主人公の男が、暴漢に襲われ、
ボコボコにされて、記憶をなくする。
死んだと思った男が、ゼロから人生をはじめる
物語である。
見ているうちに、自分ならどうするだろうと、
感情移入して、ハマってしまう。
捨てられたコンテナで、暮らしはじめた彼は、
救世軍の女性に恋をする。
そして、次に、救世軍の音楽隊に提案して、
のりのいい音楽のコンサートを開く。
一貫して、カウリマスキー流の
ほとんど無表情の人物が、登場する。
ところが、
ところどころに、なんともいえないユーモアと
人生のペーソスがただよう。
いろんなことを考えさせられる。
結局、人生をゼロにリセットしても、
恋と音楽さえあれば生きていけるということなのか、とか。
もっと、深読みをすると、
これは、21世紀版のキリストの話なのかな、とか。
友人に聞いたら、カウリマスキーの最高傑作の呼び声が
高いという。
なるほど。