<   2006年 02月 ( 9 )   > この月の画像一覧

c0069380_20234387.jpg


きのう東京の日比谷公会堂で、第十回菜の花忌が
あった。

司馬遼太郎さんの命日にちなんで、例年2月12日に
開かれているが、今年は会場の都合で2月25日になった。

まず、司馬遼太郎賞を受賞した作家の北方謙三さんの
スピーチがあった。

ハードボイルドから、最近は歴史小説に手を広げ、
「水滸伝」で今回の受賞になった。

「ハードボイルドでは、いつも難しい顔をしていなければ
いけないが、歴史小説ではそうでなくてもいいので
気が楽だ」と言って笑わせていた。

第二部のシンポジウムは、「坂の上の雲ー日本の青春」。
そうそうたるパネラーで、お話の重量感もあって
久しぶりに迫力のあるものだった。

5月の中旬頃、教育テレビの「土曜フォーラム」で、放送
されると言うから、お楽しみに。

芳賀徹さんが、平家物語に通ずるものの哀れを感じさせる
一大叙事詩だと言った。

そういう見方もあるのかと、興味深かった。

このほかの出席者は、井上ひろしさん、関川夏央さん、
そして、山崎正和さん。

いまそろう最強のメンバーだろう。

やたら、ことばの軽い昨今、じっくりとことばの重味を
感じさせられる濃密な時間だった。

最後に、菜の花の花束をひとつづつもらって、みんな
充実した顔をして家路についていた。

来年は、大阪で、開催される。
どんなお話が聞けるだろうか。
いまから、楽しみである。


お読みいただいた記念にランキングをクリックしてください。
人気blogランキングへ
[PR]
by kitanojomonjin | 2006-02-26 20:48 | 司馬遼太郎さん | Comments(0)

c0069380_19594539.jpg


マイクル・コナリーの「ナイトホークス」上下を
読み終わったところだ。

ハリウッド署刑事ハリー・ボッシュのシリーズ第一作である。

この回で、ハリー・ボッシュは、ベトナム戦争で、工兵として
ベトコン相手にトンネル任務についていたことが明らかになる。

そのくだりが、印象的だ。

「青空から闇へ。
トンネル任務を追行することを、やつはそういっていた。
おれたちはブラック・エコーと呼んでいた。
地獄へ降りていくようなものだ。
あそこへ降りていくと、自分の恐怖のにおいがかげた。
あそこにいると自分が死んだような気がするんだ。」

ブラック・エコーそれは、このミステリーの原題でもある。

ベトナム戦争帰りの男たちが、現代アメリカに溶け込めず、
犯罪に走る。

その犯罪者を追いかけるハリー・ボッシュ自身も
孤独な影を宿している。

彼のおいたち、独特の境遇も少しずつ明らかになる。

やはり、このシリーズは、第一作から順を追って
読まないといけないようだ。


お読みいただいた記念にランキングをクリックしてください。
人気blogランキングへ
[PR]
by kitanojomonjin | 2006-02-22 20:18 | カルチャー通信 | Comments(0)

c0069380_2074070.jpg


2月17日付の日経新聞の社説に、
「ネットに万里の長城を築くな」という記事があった。

これがなかなか興味深いものだった。


グーグル、ヤフーなどインターネット関連の
米企業が中国政府の情報統制に協力しているとして、
米国内で批判が高まっていると言う。

社説は、続ける。
「人口13億人の中国の巨大市場の魅力に負けて、
中国政府に協力する企業、そして外国企業の
事業活動を制限する中国政府の姿勢は、
ネット時代の民主主義の根幹を揺さぶる大問題である。」

さらに続ける。
「自らネット民主主義を唱え、世界に多くの賛同者を得て、
急成長した米ネット企業の責任は重い」

そして、次の言葉で締めくくる。
「新時代を担うネット企業は意地を見せてほしい。」

商売か理念か。

それにしても、「ネットに万里の長城を築くな」と言う
言葉は、なかなかシャレているし、示唆に富んでいる。


お読みいただいた記念にランキングをクリックしてください。
人気blogランキングへ
[PR]
by kitanojomonjin | 2006-02-20 20:25 | ブログ論 | Comments(1)

c0069380_16395972.jpg


ロサンジェルスのイースト地区。
ジョー(49歳)とその娘セニーサ(13歳)の物語。

父親ジョーは、ボクサーを目指していた。
ところが、うまくいかず、麻薬に手を出してしまう。

4年間、刑務所に入っているうちに、妻と離婚し、
娘も妻のもとに、引き取られる。

刑務所をでたジョーのもとに、娘から、手紙が舞い込む。
ボクシングを教えて欲しい。

分かれた父に会いたいと言う娘セニーサの精一杯の
知恵だった。

かくして、父と娘のボクシングの修業が始まる。

いまでは、サニーサは、カリフォルニア地区の
女性チャンピオンになった。

麻薬づけの生活から、立ち直ったジョーは語る。

「シィーズ・オール・マイ・ライフ」

まるで、映画の中の話のようだが、最近見たテレビの
実話である。

アメリカン・ドリームが、今も生きている。

たぶん、マイクル・コナリーの小説に出てくる
イースト・ロサンジェルスで生活する人々の話なのだろう。


お読みいただいた記念にランキングをクリックしてください。
人気blogランキングへ
[PR]
by kitanojomonjin | 2006-02-16 16:56 | カルチャー通信 | Comments(0)

c0069380_16181210.jpg


あいかわらず、マイクル・コナリーのミステリーに
嵌っている。
「シティ・オブ・ボーンズ」を読み終わったところだ。
(ハヤカワ文庫)

ハリー・ボッシュ・シリーズの一つ。
この回を最後に、主人公のハリー・ボッシュは、
ハリウッド署の刑事をやめる。

これまで読んだのとは、随分異質である。

500ページ読んでも、犯人の目途が立たない。
557ページの最後のページを読んでも、釈然としない。

駄作と決め付けるのは簡単だが、これは、
ハリー・ボッシュ・シリーズをちゃんとはじめから読まないと
分からないことかもしれないと思い、
シリーズ第一作から読み始めることにした。

それまで評価は保留することにする。

子供の虐待がテーマである。
こんな印象的なくだりがある。

「子どもの事件にはさいなまれる。
心をえぐられ、傷跡を残していく。
貫かれるのを止めるだけ厚い防弾チョッキなど存在しない。
子どもの事件は、この世のいたるところで
光が失われているのを思い知らせるのだ。」


お読みいただいた記念にランキングをクリックしてください。
人気blogランキングへ
[PR]
by kitanojomonjin | 2006-02-15 16:36 | カルチャー通信 | Comments(0)

c0069380_16371790.jpg


相変わらずマイクル・コナリーに嵌っている。

「ザ・ポエット」では、ジャック・マカヴォイという
新聞記者が活躍する。

著者のマイクル・コナリーも10年以上ロサンジェルス・
タイムスの記者をしていたと言うことで、その気分がよく
描かれている。

たとえばこんなくだり。

「記者の生活は、脱穀機のまえをつねに走りつづける
生活だ。
ときおり、人は機械のまえを走っているのに疲れてしまい、
足を止め、ばらばらに切り刻まれてしまうのだ。」

こんなくだりも、興味深い。

「この仕事をしていてひとつわかったことがあるとすれば、
どんなものにも、あらゆるものに、嗜好があり、そのための
市場がある、ということだ」

そして犯罪に、こんな装備が登場する。

「デジタル・カメラとコンピュータと、ファックスを送るのに
用いたのとおなじモデムがあれば、世界じゅうの
望むところにどこにでも写真を送ることができるんだ。」

この作品は、1995年に書かれている。
いまでは、日本でも当たり前になっているパソコン技術が
10年以上前に、アメリカではとっくに実現し、犯罪小説に
登場しているのだ。

さらに、ニーチェにでてくるというつぎのくだりは、
時代を、最も暗示している。

「怪物と戦う者はだれでも、その過程でみずからもまた
怪物にならないよう気をつけなければならない」

マイクル・コナリーからますます目を離せなくなった。


お読みいただいた記念にランキングをクリックしてください。
人気blogランキングへ
[PR]
by kitanojomonjin | 2006-02-11 17:01 | ブログ論 | Comments(0)

c0069380_20292335.jpg


BS-2,BSハイビジョンで、先週から、朝夕
「毎日モーツァルト」という10分のミニ番組が始まっている。

アイラブ・モーツァルトというミニ・インタビューに続いて、
山本耕史さんの朗読のモーツァルトのミニ・ヒストリーが続く。
そして、今日の一曲。

一年間、240曲をたどりながら、併せて、モーツァルトの人生を
たどろうというものである。

これは、じつに、ブログ的な番組だと思う。
今日の続きは、また明日と日めくりのように、あるいは、
日記のようにたどっていく。

見ているうちに、だんだん病みつきになる。
いちど覗いてみてはいかがですか。

特に、今日の小塩節さんのブレンナー峠の話は、
圧巻だった。

ゲーテをはじめ、多くの芸術家が、この峠を越えて、
イタリアへ向かった。
その熱き思いが伝わってくる。

おりしも、トリノ・オリンピック開幕である。


お読みいただいた記念にランキングにクリックしてください。
人気blogランキングへ
[PR]
by kitanojomonjin | 2006-02-10 20:40 | ブログ論 | Comments(0)

美の脇役 2006年2月8日

c0069380_1118353.jpg

c0069380_11184890.jpg

c0069380_11192519.jpg

(執筆者として司馬遼太郎の名が)

先日、「古書の森」というブログをやっている女性に
お会いする機会があった。
さっそく、拝見してみると、なかなかすてきなブログだった。

神田の古本店を訪ねては、明治の文献(雑誌から単行本まで)を
探してくる。
その掘り出し物を毎日欠かさず、一冊紹介している。
そのエネルギーには、敬服する。

それに刺激されて、手元にある古書を一冊紹介しよう。
「美の脇役」と言う写真とエッセーの本。
随分以前、京都三条の古本屋で見つけて、ふらふらっと
買ってしまった。
たいした値段でなかった。

表紙は、踏みつけられた天邪鬼の姿。
奈良・京都のお寺や建築物の中で、ひっそりと
片隅にありながら、その美を支えているまさに、
美の脇役を集めている。

その企画の目線の面白さに引かれた。

大分たってから、この企画は、産経新聞時代の
司馬遼太郎さんが、企画したものであることがわかった。
その途中から、司馬さんは、作家として独立し、産経をやめ、
後半では、執筆者として登場している。

なによりも、片隅にある美に着目する姿勢が
面白い。

私にとって、忘れられない一冊である。


お読みいただいた記念にランキングをクリックしてください。
人気blogランキングへ
[PR]
by kitanojomonjin | 2006-02-08 11:38 | カルチャー通信 | Comments(2)

c0069380_16511046.jpg

(野川冬景)

マイクル・コナリーの「夜より深き闇」を
読み終えたところである。
ミステリー作家マイクル・コナリーは、つくづく
光と闇の作家だと思う。

たとえばこんなくだり。

「ゆっくりと顔を起こし、キッチンの窓から外を眺め、
カーウェンガ・パスを通してその先を見た。

ハリウッドの街明かりがきらきらと輝いていた。
いたるところで、全宇宙の星々が鏡に反射したように
なっている。

ボッシュはそこにあるすべての悪しきもののことを
考えた。
正しきものより誤ったもののほうが多い街。
大地がいつ足下で裂け、暗闇に人を飲みこんで
いきかねない街。
失われた光の街。
ボッシュの街。
それらすべてでもあり、それでもつねに、
またはじめることのできる街。
おれの街。
第二のチャンスがある街。」

マイクル・コナリー自身、謝辞として
レイモンド・チャンドラーに捧げている。

「夜よりも暗き闇」と言う題名は、チャンドラーの
短編集「事件屋稼業」の次のような序文から取ったと言う。

「街の通りは夜よりも暗きもので翳っていた」

マイクル・コナリーの魅力は、チャンドラーに一脈
通じるものがあるせいだろうか。


お読みいただいた記念にランキングをクリックしてください。
人気blogランキングへ
[PR]
by kitanojomonjin | 2006-02-03 17:18 | カルチャー通信 | Comments(0)