カテゴリ:この国のかたち( 89 )

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「天皇の世紀」2をようやく読み終わった。

安政の大獄に、大半を費やしている。

実に、重い。


次の言葉が、印象的だ。

「明日を構想する知恵と勇気は

一朝に生まれるものではなかった。

封建時代の人間は、樹木のように

地面の土に結びついていた。」

その陣痛のようなこう着状態が

延々と記述される。


明治100年にあたって、1969年から、

描き始められたこの作品。

明らかに、学生運動のこう着状態の時代を意識している。


そして、大仏次郎は、あくまでも

吉田松陰にシンパシーを抱く。

最後のページで、こう語る。

「(倒幕の一線に立った志士たちは、)

皆、松陰が孵化させた小さい蝶たちである。

死刑と定まったと見ゆる牢獄の中にいても、

先生はまだ教えている。」


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by kitanojomonjin | 2010-03-30 12:05 | この国のかたち | Comments(0)

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大仏次郎の「天皇の世紀」が文庫本になった。

さっそく第一巻を読んでいる。

圧巻は、ペリーの黒船に、

日本のふたりの若い武士が訪ねてくるところ。

「五大洲を周遊せんと欲す」

そう語って、外国へ連れて行ってくれと頼む。

瓜中(くわのうち)万二、市木公太と名乗った二人は、

吉田松陰とその連れだった。

そのあと、松陰は、捕らえられ、ふるさと萩に護送される。


松陰は、松下村塾で弟子たちに教える。

そこの描写がいい。


「松陰が松下村塾で指導したのは、結果として

学問は初歩の政治学のようなものだが、

弟子たちが受けたのは、行き詰った現状を打破して

何かわからぬ新しい使命につくための人間的誠意と熱情であった。」


こんな言い方もしている。

「まだ一部の貧しい武士たちの間に、その貧しいことのゆえに

実際的な打算や私意のなかった倫理的に高貴な時代に

日本がまだ在ったことも原因の一つであろう。

これは、点々と自然発生した野火の如きものであった。

燃え立って他に発火を誘いながら

自分は燃え尽きて灰となって地に鎮まって行く。」


なかなか印象的なくだりである。


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by kitanojomonjin | 2010-03-06 16:27 | この国のかたち | Comments(0)

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先週のセンター試験の「日本史B」の問題に

陸羯南が出題された。

「陸羯南は新聞『日本』を刊行し、欧化主義を批判した。」

正しいか間違っているか。

これは、正解である。

弘前出身の明治のジャーナリスト陸羯南。

正岡子規を生涯応援し、庇護したことでも知られる。

陸羯南がここまで、一般に知られるようになったかと

いささか感慨深いものがある。


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by kitanojomonjin | 2010-01-20 12:39 | この国のかたち | Comments(0)

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アメリカの国際政治学者ジョセフ・ナイが

なかなかいいことを言っていた。

《鳩山政権の仕事ぶりについて》

「海軍流に言えば、船を揺らす波を見下ろして

船酔いになるよりも、明るい水平線に視線を

向けることだ。」(11.8付日経)

なるほど。

でも、こんな反論が出るかもしれない。

「とりあえず、『船を揺らす波』をみなければ、日本という

船は、沈没してしまう!」

それもそうかもしれない。

でも、船がどこへ向かうのか、そろそろ明るい水平線の展望も

ほしいところである。


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by kitanojomonjin | 2009-11-26 15:02 | この国のかたち | Comments(0)

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先日、聞いた寺島実郎氏の講演の続き。

衝撃的な数字が示された。

日本の貿易総額に占める割合。

  09年1~4月 米国 13.5%  中国20.1%

1990年に27.4%、2000年に25.0%を占めた

対米貿易比重は、わずか13.5%になったというのである。

戦後の対米中心の経済は、大きく変りつつある。

ここから先は、にわかには信じがたいが、寺島氏の話によると、

裏日本・表日本の表現も、戦後そのリアリテイが増してきたという。

つまり、海のかなたのアメリカに向き合う太平洋側が

表日本で、

冷戦で閉ざされた国々と向き合うのが、裏日本だった。

この概念も、これから大きく変えていかなければいけないという。

にもかかかわらず、いまだに、アメリカを通してしか

世界を見ない考えが横行していると、

寺島氏は警鐘を発する。


なるほど。

これまで、半世紀それで済んできたのも事実。

その意識の変革には、われわれにとって

相当の努力がいることだろう。


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by kitanojomonjin | 2009-06-25 20:44 | この国のかたち | Comments(0)

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先日、寺島実郎氏の講演を聞いた。

なかなか面白かった。


日本は、第二次世界大戦でアメリカの物量に

負けたと信じ、ひたすら、物量を生産する道を歩んだ。

日本は、主にアメリカを通して、世界をのぞいてきた。

いまその環境が大きく変っている。


実は、日本が第二次世界大戦に負けたのは、

アメリカと中国の連携に負けたという側面があった。

にもかかわらず、日本人は、中国に負けたとは考えたくなった。


いまアメリカは、イラク戦争で、3兆ドルの戦費をつかい、

経済再生に8兆ドルをつぎ込もうとしている。

このマイナス11兆ドルのアメリカの経済を大きく支えているのが、

中国であるという。


ここで、寺島氏は、ジャーナリスト松本重治のことばを

引用する。

「日米関係は、米中関係である。」

日米関係は、単独に存在するのでなく、常に米中関係に

規定されている。

このことを松本重治は、亡くなるまで遺言のように、

繰り返していたという。

生涯、中国ウオッチャーだった松本ならではの

含蓄のある言葉である。


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by kitanojomonjin | 2009-06-19 12:56 | この国のかたち | Comments(0)

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浜矩子の「グローバル恐慌」を読んでいる。

今回の世界恐慌の発端・アメリカの「債権の証券化」を

飲み屋のツケの福袋で、説明する。

「飲み屋は、一計を案ずる。

たまった請求書を切り分けたり束ねたりして、

たくさんの福袋をつくる。」

このツケの福袋が、要するに債権の証券化商品である。

かくして、このツケの福袋が、禍袋(わざわいぶくろ)化して、

街中に分散・拡散し、しまいには、飲み屋も倒産してしまう。

それが、アメリカの金融恐慌の構図だという。

なるほど。


さらに、このグローバル恐慌は、「失われた10年」の

グローバル版であり、10年ぐらいは、覚悟せよという。


当分、うっとうしい時代が続きそうだ。


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by kitanojomonjin | 2009-03-21 11:34 | この国のかたち | Comments(0)

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「風車(かざぐるま)風が吹くまで昼寝かな」

広田弘毅が、左遷されていたときに

読んだ句だという。

出口なしのこの時代、

なんとかしなくちゃという気持ちと

意外にこの句の気持ちもわかるよね

という気持ちと半々である。


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by kitanojomonjin | 2009-03-20 17:53 | この国のかたち | Comments(0)

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日本はどこへ行くのだろうか?

2月25日付けの日経新聞で、

コマツ会長の坂根正弘氏は、現状を

このように言っている。

「日本企業の現状は、予想もしないところに

金融危機という真っ暗闇のトンネルがあって、

そこに加速しながら飛び込んでいった感じだ。

出口の光は見えず、自分が走っている方向も

分からない。」


この3月、大きな雇用不安と消費の落ち込みが

ささやかれている。

いまだに出口は見えない。


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by kitanojomonjin | 2009-03-19 21:18 | この国のかたち | Comments(0)