カテゴリ:この国のかたち( 90 )

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表紙は、大きく崩壊した熊本城の写真。

アサヒグラフの緊急復刊として「九州・熊本大地震」が

特集されている。

その末尾に、作家の葉室麟さんが寄せている

「熊本の友へ」という文章が、印象的だった。


まず、「熊本の友」として、

熊本市に住む石牟礼道子さんについて、ふれる。


石牟礼さんが、東日本大地震と福島原発事故の後に

書いた詩が紹介されていた。


「現世はいよいよ地獄とやいわん

虚無とやいわん

ただ滅亡の世せまるを待つのみか

ここにおいて

われらなお

地上にひらく

一輪の花の力を念じて合掌す」


もうひとりの「熊本の友」として、

熊本市の思想史家・評論家・渡辺京二さんを

あげる。

渡辺さんは、新たな地元の文芸誌「アリテリ」を創刊したという。

発刊にあたっての渡辺さんの文章もいい。


「現代はとっくに文学の世紀ではない。

文学は冗談とお噺のマイナーな世界に閉じこもってしまった。

滅びゆく森のどこに隠れた小径を見つけられよう。

それでも言葉によって生きたい。

それによってしか真に生きられないという人びとが

存在する以上、森の深みに通じる小径は

おのずと光を放たずにはおかぬだろう。」


石牟礼さんの「一輪の花の力」にしても

渡辺さんの「森の深みに通じる小径」にしても

現代に対する激しい挑戦の意思がひしひしとこめられている。


ちなみに、石牟礼さんは現在、パーキンソン病を患い、

渡辺さんが週5回、石牟礼さんを訪ねて

資料の整理や原稿の口述筆記ををしているという。


80歳をこえるお二人の精神の強さと気高さを痛感させられる。



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by kitanojomonjin | 2016-07-11 13:40 | この国のかたち | Comments(0)

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(東海道新幹線車窓からの富士山)

先日、富士吉田の富士山信仰の担い手

毘沙門屋当主・佐藤勝利さんのお話を

ラジオで聞いた。

佐藤さんの家は、御師(おし)という代々

富士山信仰の担い手として、人々を

案内する家だという。

面白かったのは、現在でも、外国人を案内して、

朝日とか夕陽をのぞむと、

みな自然に手を合わせるという。

それが、富士山信仰の原点だという。

そうだろうと思う。

山伏の多くが担ってきた山岳信仰のみなもとは、

結局そこに行き着くようだ。

自然の驚異に感動する姿勢である。

あと、手甲脚絆、白装束で、

「サイギサイギ ロッコンショウジョウ」

ととなえるというのは、

津軽の岩木山のお山参詣でも

まったく同じことである。

富士山信仰のスタイルは、

日本各地の山岳信仰にも通じる。


日本の典型的な巡礼スタイルは、

みな共通しているようだ。

もともとは、伊勢神宮のお伊勢参りにも

連なるようだ。

このへんのルーツを探るとどういうことになるのだろう。

なかなか興味深いテーマである。



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by kitanojomonjin | 2016-07-04 16:29 | この国のかたち | Comments(0)

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オバマ大統領が、広島を訪ねて以来、

広島へのメッセージが、注目されている。


バーバラ・レイノルズという女性の

次のような広島へのメッセージを知った。

I am also a Hibakusya.

(私もまた被爆者です。)

20世紀の原爆の被害は、

20世紀の人間共通の問題だという意識が伝わってくる。


アメリカ人の彼女は、1951年、夫とともに、広島を訪ね、

原爆被害者の実情に、深く心をうごかされ、

平和運動にのめりこんでいく。

後に、広島名誉市民に序せられた。


「I am also a Hibakusya.

(私もまた被爆者です。)」

という言葉に続いて、

「私の心は、いつも

ヒバクシャ

ヒロシマ

とともにあります。」

ということばが、刻まれた彼女の顕彰碑が

広島に建てられているという。

深いことばである。

いつかその碑を訪ねてみたい。



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by kitanojomonjin | 2016-06-01 17:56 | この国のかたち | Comments(0)

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熊本地震のあと、地元のラジオ局が、

被災地の小学校の校歌を

順番にかけていったという。

避難所にいた人たちは、涙ぐんで

母校の校歌を聞いた。



2011年の東日本大震災のときにも、こんな話があった。

釜石市立釜石小学校の体育館に

避難した人たちは、

体育館に張り出されている校歌の

歌詞に元気づけられたという。

こんな歌詞だった。


「いきいき生きる いきいき生きる

ひとりで立って まっすぐ生きる

困ったときは 目をあげて

星を目あてに まっすぐ生きる

息あるうちは いきいき生きる」


これは、なんと、作詞 井上ひさし。

作曲 宇野誠一郎。

知るひとぞ知る「ひょっこりひょうたん島」のコンビである。


2番は・・・。


「はっきり話す はっきり話す

びくびくせずに はっきり話す

困ったときに あわてずに

人間について よく考える

考えたなら よく話す」


3番も、すばらしい。


「しっかりつかむ しっかりつかむ

まことの知恵を しっかりつかむ

困ったときは 手を出して

ともだちの手を しっかりつかむ

手と手をつないで しっかり生きる」


やはり、校歌には、独特のちからがある。

ましてや、井上ひさしの歌詞だったら、

なおさらである。



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by kitanojomonjin | 2016-05-13 14:58 | この国のかたち | Comments(0)

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柳田邦男のコラム「深呼吸」を

読んだ。(毎日新聞・4月23日付)

九州新幹線に対する鋭い指摘があった。

「超高速鉄道における脱線転覆の大惨事を

避けるために、ほとんどの新幹線に

脱線防止ガードが設けられている。」

「九州新幹線では脱線防止ガードが

一部にしか設置されておらず、現場には

なかった。

さらに、車両台車側の逸脱防止ストッパーも

取り付けられていなかった。

このため、時速80キロだったのに、

全車両が脱線したのだ。

回送列車だったのは偶然にすぎない。

乗客を乗せて高速運転中だったらと思うと、

ぞっとする。」


最後は、次のように結論づける。

「人の命よりカネの節減(安全投資削減)が

優先されるという、この国の安全文化の

レベルの低さが「定番化」されている姿が見える。」


連休まえに、余震の続く中、

九州新幹線を再開しようとしいう話があるらしい。

ほんとうに、大丈夫なのだろうか?



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by kitanojomonjin | 2016-04-26 11:47 | この国のかたち | Comments(0)

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先日、関西の女性が、ぽつんと

こんなことをつぶやいた。

「少し、時間ができたら、

子ども食堂をやってみようかしら。

うちの周りに、ごはんが食べられない子どもが、

けっこういるのよ。」

この飽食の時代に、

そんな馬鹿なとおもって、

そのままにしていた。


ところが、きょうの東京新聞に

関連記事が載っていた。

「おなかがすいた。

きのうから何も食べてないもん」

「お母さんがうつ病でご飯がつくれない」

「毎日二食で、カップラーメンとコンビニのおにぎり」



子どもの貧困率は、16.3パーセント。

過去最高であるという。

母子家庭の8割で母親が働き、

半数はパートやアルバイト。

経済的困窮は、子どもの生活そのものを

危機に陥れている。


子ども食堂は、全国各地に相次いで誕生しているという。

首都圏では少なくとも32ヵ所あり、

半数が昨年中に開設したという。

子ども食堂は、意外に広がりつつあるのだ。

知らなかった。



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by kitanojomonjin | 2016-02-09 14:18 | この国のかたち | Comments(0)

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「映画の戦後」を読んだ。

ちゃぶ台について、興味深い記述があった。


「『卓袱台のある暮し』は近代日本の庶民の暮しそのものだ。

長谷川町子の『サザエさん』でも向田邦子のドラマでも、

あるいは小津安二郎や成瀬巳喜男、木下恵介の小市民映画でも

家族の中心に卓袱台があった。」


ところが、それは、明治にはなかった光景だという。


「卓袱台が一般に普及するのは大正時代。

それまで普通に使われていた箱膳が

関東大震災によって消失したのが

普及の一因ともいう。

何より大正デモクラシーによってそれまでの

家父長的秩序が崩れたことが大きい。

箱膳には序列があるが卓袱台にはそれがない。

家族みんなが平等に食卓を囲む。

和気藹々とした雰囲気が生まれる。」


知らなかった。

そういえば、江戸の時代劇には、箱膳の食事風景が

当たり前に出てくる。



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by kitanojomonjin | 2015-12-23 16:09 | この国のかたち | Comments(0)

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先月、福島から帰ってきたあと、

東京新聞に、東京湾のセシウム調査の記事が載っていた。

(2015年11月13日付)

東京新聞の記者と学者が定期的に

調査しているという。

結果は、東京湾に注ぎ込む河川の河口部の

セシウムが、高止まりしているという。

とくに、千葉の花見川では、最大878ベクレルの値を

観測した。

これは、福島第一原発事故由来であるという。


除染のために、土を剥ぎ取ることも重要だが、

海や地中に残留する放射性セシウムなどの

汚染を地道に、計測することは、さらに重要なことだろう。

人間および生き物が、生活できる環境を維持するためには。


それにしても、4年半たっても、福島第一由来の汚染が、

東京湾に継続しているというのは、

ショックである。




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by kitanojomonjin | 2015-12-13 14:19 | この国のかたち | Comments(0)

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先日、福島に行ったとき、ローカル・ニュースで、

その存在を知った。

希望の牧場ふくしま。

福島第一原発から14キロのところにある牧場である。

330頭の牛を飼い続けている。

殺処分にしたらという意見に対して、

生き物を殺すにしのびないと飼い続けている。

当然、牛を出荷するつもりはない。

資金カンパで、えさをまかなっている。

今年の冬のえさをどうするか?

たたまたま、宮城県の牧場の汚染のレベルの低い牧草が、

処分されず保管されていた。

それを受け入れることで、話がまとまりかけていた。

ところが、宮城県と福島の地元自治体が、異議を申し立て

すったもんだしている。

どうなるのだろう。


でも、この希望の牧場ふくしまの取り組みは、

原発事故の問題の深いところで、考えさせられるものを

はらんでいる。


なんとか生かしたいという330頭の牛を

殺していいのだろうか。

牛が生きられない場所には、人間も住めないのではないか。

5年先を目標に、順次、住民を帰宅させようという計画が

進んでいるというが、

ほんとうに、安心してすめるところかどうか

牛たちが、証人になってくれるのではないだろうか。

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by kitanojomonjin | 2015-11-29 11:55 | この国のかたち | Comments(0)

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相馬港にある「伝承鎮魂祈念館」を訪ねた。

平成27年4月1日にオープンしたばかりだという。

中に入ると、独特の雰囲気に包まれている。

無理もない。

「相馬市の原風景を後世に残し、

遺族の心の拠所としていく」ために、建てられたものだという。

単なる記念館ではないのだ。

「伝承鎮魂祈念館」という名前にも、その思いが

こめられている。

一番、印象に残ったのは、展示していた膨大なスナップ写真である。

行方不明の人々の生前の楽しそうな表情が

残されている。

この地域では、東日本大震災の津波で、

458人の命が、奪われたという。

行方不明者の写真が、引き取られずにあるということは、

家族ぐるみで被害にあったということを

物語っているのだろうか。

祈念館の外に、ブランコが赤さびたまま残っていた。

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by kitanojomonjin | 2015-11-21 16:27 | この国のかたち | Comments(0)