腹下し文学 2007年8月21日
2007年 08月 19日藤沢周平の「市塵」という小説を読んだ。
2度目である。
新井白石の半生記をたんたんと綴ったものである。
新井白石には、「しゃ」という持病がある。
腹下しの持病である。
登城の途中で、急にトイレに行きたくなって
商家の厠を借りる。
だいたい下腹に力が入らないと
意欲もなかなかわかないものだ。
だが、白石の場合は、腹下しをかかえながら、
青鬼といわれるほど、改革に邁進し、
次々に成果を挙げていく。
こわもての反面、腹下しに悩まされ続ける白石に、
なにか親しみを感じさせられる。
世の中には、こうした「腹下し文学」の系譜が
あるような気がする。
先日読んだ宮本輝の「ひとたびはポプラに臥す」も
このジャンルに入るかもしれない。
腹を下しながら、水と油が合わないとこぼしながら
延々とシルクロードの旅をする。
人間は、胃袋と腸で生きている。
人間の喜怒哀楽も、多かれ少なかれ胃袋と腸に
左右される。
それが、とっても人間的である。
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