久慈孝子の死 2007年5月15日

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日経の私の履歴書に、映画監督の新藤兼人さんが

連載している。

さすがに、脚本家だけあって、文章が素晴らしい。

きのうは、最初の奥さん久慈孝子が、結核で

亡くなる情景だった。

「鴨川の土手から朝顔の苗を拾って一坪ほどの

庭に植えた。

これを育てて四畳半に寝ている久慈さんに

見せるつもりだった。

久慈さんは、手鏡で朝顔を見て、

これに花が咲く頃には良くなるからと言った。

運命は残酷だ。

効きもしない水薬を毎日大事に飲んで、

次第にやせ細り、八月七日の夜明けに死んだ。

お世話になりましたと言った。

朝顔が一輪咲いた。

白い朝顔が。」

なんという静謐で哀しみにあふれた文章だろう。


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by kitanojomonjin | 2007-05-14 13:55 | 人生 | Comments(0)