異郷の季節 2006年9月28日

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「異郷の季節」という本を読んでいる。

みすず書房から、1986年に出た本。

著者はサルトル研究の仏文学者。

フランス滞在時代の思い出を書いたエッセイ集だが、

なかなかいい味の文章である。

なかでも、「書物を流れる歳月」は、圧巻。

パリの国立図書館に通っていた頃、

其処で出会ったユニークな人々について

触れている。

腰巻の萩原延壽氏の評が、見事にこのエッセイの

面白味を活写している。

「敦煌文書の解読にいそしむ老中国人、

モスクワ裁判の究明に執念をもやす老アナキスト、

かれらとの一期一会のゆかりを著者は感動的な

筆致で語っているが、われわれが「精神の共和国」の

存在にかすかな希望をつなぎうるのは、かかるしめやかな

友情の姿に接したときであろう。」

このほか、パリのセーヌ河をはさんで、右岸と左岸の

違いを次のように見事に表現している。

「以前は、もう少し右岸は右岸らしく、

左岸は左岸らしかったのであって、

敢えてその特徴の一面を強引に拡大して抜き出してみれば、

右岸にはお金と生活があり、

左岸には空想と観念があった、とでも言ったらよいだろうか。」

なるほど。

ときあたかも、左岸で、五月革命が火を吹いた頃だという。

それにしても、読めば読むほど、この著者は

只者で無いような気がする。


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by kitanojomonjin | 2006-09-28 10:07 | 人生 | Comments(0)