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リンゴの涙 ・司馬さんの津軽路 2005年8月14日

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(ブロギニストの散歩道から)

1991年秋、津軽を襲った台風は、りんご畑に
大打撃を与えた。
その時、東京にいたわたしは、こころ穏やかでは
いられなかった。

その後、わたしは「りんごの涙」という文集に出会った。
1991年台風を経験した小学生の作文・詩を
まとめたものだった。

そのうちの一編。
「ぼたぼた ぼたぼた
畑で りんごの落ちる音がする
りんごの落ちる音は
お母さんのなみだが
落ちる音だ」

さらに、心をうつのは、当時小学1年の女の子が書いた詩
「でかせぎ」。

「きのうね
おとうさん
いっちゃった
ほんとに
いっちゃった

おうまさんに
なるって
いっていたのに」

この文集を作家の司馬遼太郎さんに送った。
いささかウエットな詩は、司馬さんの世界とは、
遠いかなと思った。

しかし、津軽という所は、太宰治や棟方志功だけが、
代表しているのではなく、ふつうの人々のかなしみや涙で
できていることを知って欲しかった。

驚いた事に、司馬さんは、この文集で「街道をゆく・
北のまほろば」の最後を締めくくられた。

「どうも、青森県では、りんご園で育ったこどもまでが、
りんごの木は家族だとおもっているらしい。
「りんごの涙」という小学生たちの文集を読んで
そのことがよくわかった。」

「津軽や南部のことばをきいていると、そのまま詩だと
おもうことがある。
この小さな津軽詩人の詩を借りて「北のまほろば」を
終える。」

津軽を構成するもうひとつの底流を
しっかり受け止めていただいた気がして、
とてもうれしかった。


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by kitanojomonjin | 2005-08-12 16:12 | 司馬遼太郎さんの津軽路