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スペイン・闘牛広場の昼下がり・旅の街角から 2005年6月17日

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(ブロギニストの散歩道から)

かつて、スペインのチンチョンという町を訪ねたことがある。
そこは、最もスペイン的な町といわれている。
マドリッドの南東1時間ほどのところに、その町はある。

町の中央に、広場があった。
その周りをバルコニーつきの二階建ての木造長屋が
ぐるりと囲んでいる。

実は、ここは闘牛の町なのだ。
夏の祭りともなれば、猛々しい闘牛が走り回り、
広場が、闘牛場になる。
そして、バルコニーは、格好の観客席になるという。

しかし、私が訪ねた時は、何の変哲もないのどかな
スペインの田舎町のたたずまいだった。
午後の時間は、ゆったりと流れていた。

ピッチャーに、サングリアと氷をたっぷり入れて、
それで喉の渇きを癒しながら、午後のシエスタの
時間を過ごす。
それが、スペインの至福の時間である。

昼下がりの町には、犬1匹通らなかった。
テーブルに足を上げて、深く椅子にもたれていると、
アメリカ西部の街角のガンマン無宿にでも
なったような気になる。

その時だった。
突然、広場に面した教会の鐘がなり、町の人々が
教会から出てきた。
中央に、白いウエディング衣装の若いカップルがいた。
人々は、二人に花を投げ、キスの雨を降らせて、
祝福した。

ひとしきり賑わった後、再び静寂が訪れた。
先ほどのことは、まるで白昼夢のように
静まり返っていた。

なんでもないスペインの田舎町のほほえましい光景が、
時折、とても懐かしく思い出される。

あそこには、わたしたちが、ともすれば忘れがちな
典型的なしあわせの表情と時間が溢れていたように思う。


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by kitanojomonjin | 2005-06-17 12:12 | 旅の街角から