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新聞記者・司馬遼太郎 2013年6月29日

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「新聞記者 司馬遼太郎」という

本を読んでいる。(文春文庫)

作家司馬遼太郎さんの新聞記者時代を

後輩の産経新聞の記者が、取材して

書いたもの。

昭和23年6月28日、福井大地震が

起きる。

京都支局の司馬さんは、応援に

現地に向かう。

途中、長浜で、通信部の伊藤末蔵に会う。

そのくだり。


「『産経か』

そうだ、というと、いきなり新聞紙の包みを

車のなかにほうりこんで、

『行け』とてをふった。」


中身は、うどん玉だった。

司馬さんたちは、終日、被災地で取材をした。

汁もダシもないので、

『世の中にこれほどまずいものがあるだろうか』と

わるくちをいいながら食ったという。

わるくちをいったのは、伊藤さんの素朴な好意が

いかにも胸にせまりすぎるために、

照れかくしに言ったのだという。


それにしても、長浜通信部の伊藤記者の

気骨のある記者魂は、胸を打つ。


司馬さんは、伊藤記者のような

いわば、「無償の巧妙主義」とでもいうべき

記者魂をこよなく愛した。


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by kitanojomonjin | 2013-06-29 14:48 | 司馬遼太郎さん