天皇の世紀(1) 2010年3月6日

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大仏次郎の「天皇の世紀」が文庫本になった。

さっそく第一巻を読んでいる。

圧巻は、ペリーの黒船に、

日本のふたりの若い武士が訪ねてくるところ。

「五大洲を周遊せんと欲す」

そう語って、外国へ連れて行ってくれと頼む。

瓜中(くわのうち)万二、市木公太と名乗った二人は、

吉田松陰とその連れだった。

そのあと、松陰は、捕らえられ、ふるさと萩に護送される。


松陰は、松下村塾で弟子たちに教える。

そこの描写がいい。


「松陰が松下村塾で指導したのは、結果として

学問は初歩の政治学のようなものだが、

弟子たちが受けたのは、行き詰った現状を打破して

何かわからぬ新しい使命につくための人間的誠意と熱情であった。」


こんな言い方もしている。

「まだ一部の貧しい武士たちの間に、その貧しいことのゆえに

実際的な打算や私意のなかった倫理的に高貴な時代に

日本がまだ在ったことも原因の一つであろう。

これは、点々と自然発生した野火の如きものであった。

燃え立って他に発火を誘いながら

自分は燃え尽きて灰となって地に鎮まって行く。」


なかなか印象的なくだりである。


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by kitanojomonjin | 2010-03-06 16:27 | この国のかたち | Comments(0)